日本だけが低下している実質賃金が問題ないって本当?

厚生労働省による毎月勤労統計調査不正問題で、実質賃金が注目されています。実質賃金が低下、または低迷していることに対し、「低賃金になりがちな新規就労者が増えているから仕方がない」との論調があります。例えば以下の記事。

「実質賃金が問題」と叫ぶ人は、どうやら経済オンチのようですが、本当はどちらが経済オンチなんでしょう?

新規就労者が全体の賃金の平均を押し下げるってどうなの?

漫然と前述の記事を読んでみると、「そうなのかなあ」と思ってしまいますが、よく考えると「新規就労者が就労者全体の平均賃金を押し下げる」って異常なことだと思いませんか。

その件に関してはこのブログでも以前取り上げています。

単純計算で、アベノミクス期間に6.5%(約410万人)増えた就業者が、全体の就業者約6600万人分の平均賃金(実質賃金)を低下させたとしたら、新規就業者は既存の就業者の3分の1の賃金で雇われていることを意味します。

国際的に実質賃金が低下、低迷しているのは日本だけ

それでも、「低賃金でも若者や高齢者、女性が働けるようになったんだからいいじゃない」との意見もあるでしょう。そんな人たちには、是非国際比較を見て欲しいのです。実質賃金が低下、低迷しているのは日本だけです。これでも、日本の雇用状況は改善してきていると言えるのでしょうか。例えばドイツと米国は実質賃金が堅調に伸びており、同時に就業者数も増えています。

確かに1997年から低下傾向にあり、安倍政権だけに責任があるとは言えませんが、ここまで平均賃金が低迷しているのは新規雇用者が低賃金で雇われているだけでなく、既存の就業者の賃金が低下、もしくは低迷しているよりほかありません。

アベノミクスに期待したのは、この流れを変えてくれると思ったからです。しかし実際には、最高益の企業業績にもかかわらず賃金に十分反映されていません。同時に安倍政権が進める外国人労働者の拡大や「働き方改革」、「女性や高齢者が活躍できる社会の実現」の名目の元、進められる雇用の規制緩和が大きく影響しているのではないでしょうか。

企業が既存の従業員の賃金を上げるより、景気が悪くなればすぐ解雇でき低賃金で雇える非正規を選ぶのは当然の帰結です。このような雇用システムが賃金低迷の理由だとしたら、実質賃金の低下、低迷を問題視するのは当然のことなのではないでしょうか。

まとめ

アベノミクスでは、相反する政策がいくつか進められています。賃上げを求めながら、消費を縮小し企業業績を悪化させる消費増税を決定したり、インフレ率2%を目標にしながら、デフレになると増える外国人観光客の増加を推進したりしています。賃金上昇の国際比較を見れば分かりますが、日本人の賃金が上がらない間に、外国の賃金は堅調に上昇しています。外国人観光客が増えて喜んでいる場合ではありません。相対的に金持ちになっている外国人が、貧乏で物価が安くなっている日本が割安だから訪れているに過ぎないからです。国民のためといいながら、実際には一部のグローバルに稼げる企業や、富裕層のために政治をしているのが安倍政権ではないかと疑念を持たざるを得ません。