高まり続ける生産性と1973年から鈍い時給の増加率。米国のケース

仕事をしていれば分かるように、ぼくたちの生産性は日々高まっています。1年間同じ仕事をしていれば、誰でも要する時間が短くなるはずです。それが生産性の向上で、労働者の「慣れ」だけで結構な割合で生産性を高めることができ、さらに設備の高度化が加われば飛躍的な生産性の向上も可能になります。

企業の進歩とは生産性の向上であり、日々品質の向上とともに生産性が向上することで、より良い製品がより安い価格で消費者に届くようになります。企業は生産性向上なくして存続することはできず、そんな企業が集合する国全体で見ても、生産性が向上するのは自然な姿なのです。

生産性向上に伴い賃金も上昇すれば多くの国民が不満に思うことなく生活していけますが、生産性の向上で企業の儲けが大きくなるのに対し、賃金上昇が鈍いと格差拡大につながり、国民の不満が大きくなります。いわゆる「労働分配率」の問題で、米国をはじめ反資本主義的な動きが大きくなっている要因にもなっています。

以下は米国の政治家アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)氏のツイートで、そのことを指摘しています。

The Productivity–Pay Gap

「生産性と賃金のギャップ」

ほとんどの米国人が、満潮がすべてのボートを押し上げると信じている。経済が拡張すると、すべての労働者の賃金が上がることを。

1940年後半から25年間は、その信念の通り経済が機能していた。この間生産性と賃金の上昇率はほぼ同じで、つまり経済がより効率的に拡張することと米国人の賃金上昇は呼応していた。しかし1970年代、その関係性は変わってしまった。

1973年以来、賃金と生産性の増加率が乖離

1973~2017年の間、生産性は77%高まる一方、一般的な労働者の時給は物価上昇の影響を除いた実質値で12.4%の増加にとどまている。労働者の生産性はかつてないほど高まっているが、労働者の取り分が経営陣や会社の利益に吸い上げられていることになり、特に近年その傾向が強まっている。

どうしてそのようなことが起きていて、どう修正すべきか

生産性の向上は、多くの労働者の賃金上昇につながる可能性を秘めている。しかし、その可能性はここ数十年無駄にされ続けている。一般的な労働者に賃金上昇をもたらし豊かにするはずの「トリクルダウン」は約40年間失敗し続けており、その原因は所得、資産、権力を持つ者のための政策が選択されているためで、格差を拡大させてきた。

賃金上昇という多くの人に繁栄をもたらす生産性向上を実現するため、賃金上昇と生産性向上を再び相関性の高いものにし、労働者のパワーを復活させる政策を採用しなければならない。それなしには、いくら生産性を高め経済成長させたとしても、多くの労働者の賃金上昇にはつながらないだろう。

まとめ

「生産性の向上が賃金の上昇につながる」が単なる神話に過ぎないことが分かります。一般の労働者が一生懸命働き、会社のために生産性を向上させたとしても、その分が正当に自分たちの賃金に反映されることはありません。まだまだ労働者の賃金は上がるべきだったのです。それを阻止してきたのが、労働者が豊かになることを面白く思わない経営陣で、経団連をはじめとする力をもつ人たちが政治を動かし、そのような社会構造にしてきたと思わざるを得ません。米国ではAOCらのアンチ資本主義の活動で、新たな潮流が生まれようとしています。日本でも、そのような動きがそろそろ出てくるのではと期待していますが、消費増税という明白な愚策さえ止められない与野党を見ていると絶望的な気持ちになります。