長期停滞の時代には財政赤字が必要だ。増税延期は将来世代の負担にならない

「長期停滞の時代には財政赤字が必要だ」「増税延期は将来世代の負担にならない」。このブログで一貫して主張してきたことです。必然的に、逆の立場の池田信夫氏と同氏のメディア「アゴラ」を否定してきましたが、まさか池田氏の口からこのようは主張が飛び出すことになるとは予測していませんでした。

どうやらRachel-Summers論文とやらが、以下の結論になっていることが同氏の変節の要因のようです。

金利低下の原因は民間の構造的な投資不足なので、中立金利は今後50年以上も毎年1%以上低下すると予想している。今後もずっと世界的にマイナス金利が続くとすると、財政赤字を心配する必要はない。むしろマクロ経済のバランスを保つためには一定の財政赤字が必要だ、というのが彼らの結論である。

「MMT」とは違うと池田氏は主張しますが、「低インフレの間は財政赤字が必要」とするMMTと、「低金利の間は財政赤字が必要」とする同氏の主張に大きな違いはないように思います。低インフレも低金利も、結局は総需要不足のため民間の資金需要が不足していることを意味しているからです。

まあ、財政危機を危惧していた池田氏が、条件付きとはいえ財政赤字の拡大を主張するという勇気ある(?)変節を遂げたことは歓迎したいと思います。当然、財政赤字が問題ないとなると、消費増税をする必要もありません。

しかし、4カ月前には消費増税に反対する人たちを「情報弱者」と切り捨てていた同氏の変節に戸惑っている人は多いでしょう。

池田氏にはツイッターで、さまざまな反応が寄せられているようです。まだまだ意見の違いはありますが、個人的には応援したいと思います。

まとめ

税金で国の支出をすべてカバーする必要はありません。1990年代までは、インフレをどう退治するかが世界的な課題で、そのために主流派経済学は有効でした。しかし先進国を中心にデフレ傾向になり、これまでの経済学では説明できない経済状況になってきたのです。必然的に、インフレを抑えるために有効だった厳しい財政規律も、インフレ時代には緩める必要が出てきます。パラダイムは確実に変わりつつあります。時代に応じた経済政策を、これまでの常識に捉われず臨機応変に採用する必要があるのです。