米国で広がる経済の楽観的な見方。しばらく緩やかな成長が続くのか?

米国では2018年末から年初にかけて、株価が急下落するなど先行きに不透明感が広がっていました。しかしここにきて、投資家の間では楽観的な見方が広がっているといいます。

タイトルの「Goldilocks Growth」は、童話『三匹の熊(Goldilocks and the Three Bears)』に登場する熱すぎず、冷たすぎないお粥を表しています。そのため、「丁度よい成長」とでも訳しましょうか。

昨年末から広がっていた米国経済は、ここにきて落ち着きを見せています。不安要因として、金融引き締め、中国との貿易戦争、原油価格の高騰、ユーロ危機などがありましたが、いずれも深刻化していないことから楽観論が広がり、株価は堅調に上昇しています。

2008年以降の金融危機以降は、緩やかな経済成長と低いインフレ上昇率が特徴の経済基調となっています。エコノミストは「長期停滞」や「デフレ基調のニューノーマル」と表現しますが、記事の著者ANATOLE KALETSKY氏は誤解を与える表現だとしています。

少なくとも世界経済は、金融危機前の3.6%成長から、その後3.7%成長とペースを速めており、3%を切った年はありません。先進国で経済成長が鈍化する中、中国をはじめとする発展途上国の経済規模が大きくなっているため、世界経済全体で見れば成長しているのです。

世界経済が成長しているため、日用品、エネルギー、サービスの需要は高まり、企業業績は伸びています。しかし、インフレ率だけを見れば「ニューノーマル」は適切な表現のようです。OECD加盟国のインフレ率は、金融危機前の6.2%から2008年以後は1.9%に下がっているからです。

ウォールストリートでは、適度な経済成長と低インフレのことを「ゴルディロックス(Goldilocks)エコノミー 」と呼びます。しかし、活発な経済活動を予測する株価の上昇と、世界経済の長期停滞を予測する長期国債金利の低下という矛盾する指標が両立するというゴルディロックスエコノミーの特徴は、投資家の間で誤解されているといいます。「株価は過熱(バブル)しており、金利は悪化する世界経済の将来を表している」と。

しかし著者によると、実際は株価は堅調な世界経済の成長により企業業績が伸びるとの予測を示し、低い金利は長期の低インフレ率を予測しているが矛盾はしていないといいます。金融危機の前後で経済状況は変わったのです。好調な企業業績は高インフレ率、高金利に直結していましたが、金融危機の後ではその関係性は崩れました。1980~1990年代に有効だった金融政策は効かなくなりました。少なくとも金融危機後、中央銀行がお金を刷りまくってきた先進国では、「インフレは貨幣現象」のドグマは通用しなくなったのです。

まとめ

日本ではいわゆる「国の借金」が大きな問題となり、増税や緊縮財政など経済成長の足を引っ張る政策ばかり優先されています。「国の借金が膨らむと高金利、ハイパーインフレになる」と警笛を鳴らす経済学者が多いのですが、日本では世界金融危機より10年以上も前に世界最大規模のデフレを体験しています。既にそれ以後、金融政策で景気をコントロールすることはできなくなっています。それがアベノミクスの7年で証明されています。そろそろ、実体経済に影響を与える財政出動の有効性に気づいてもらいたいものです。