米中貿易戦争で高まるインドの存在感。投資を集める前に解決すべき水問題

先日、ベトナムに赴任していた人と話す中で、インドへ期待が集まっているという話題になりました。その人が勤めているのはAppleの部品を生産している企業で、米中貿易戦争や人件費が高くなった中国から、生産拠点は出ていかざるを得ないだろうとのことでした。

ベトナムは韓国系がかなり手広く入っているらしく、次の候補としてインドが考えられるそうです。しかしインドにも、「安全な水が確保できない」という大きな問題が寄りかかっています。

インドの水クライシスは既に起きている。気候変動が問題をより深刻に

漏れやすい上汚染がひどく、完備されていない水システムに干ばつと洪水が追い打ちをかける

写真は、インドのヤムナー川沿いに暮らす人たちです。川の汚染もかなりのものです。

近年はインドの多くの地域でひどい干ばつが起き、川や貯水池、帯水層を干上がらせています。インドでは600万人以上が「深刻な水不足」に直面している、と2018年の夏に政府系シンクタンクが公表しました。また、70%の水道水が汚染され、20万人の死者が出ているといいます。

バンガロールやニューデリーを含む21の市で、2020年の前半には地下水が枯渇する可能性があり、2030年までには人口の40%、5憶人以上が飲料水へのアクセスを失うと危惧されています。

インドでは年間、必要量より多くの水をもたらす降雨量がありますが、ほとんどが夏の雨季の4カ月に集中しています。その他の大きな水源となるのが、北部のヒマラヤ高原の雪や氷河が溶けたものです。しかしインドにとって、水を途中で漏れたり汚染したりせず、全土にくまなく届けるのは技術的に困難なため多くを雨水に頼らざるを得ず、そのほとんどが海に流されているのが現状です。

一方、灌漑(かんがい)システムのない農家は、可能な限り補助された電気で地下水を汲み上げています。
農業はインドのGDPの15%に過ぎませんが、水供給の80%を使っているといいます。

さらに気候変動が、インドの水問題を深刻化すると懸念されています。台風の勢力はより強くなり、洪水の頻度は高まり、干ばつは長期化すると予測されています。より大きな洪水の被害を受けるのは、大都市の低地に住む貧困層です。

まとめ

成長著しいインドですが、貧困や環境問題への対処を先送りにしてきたツケが回ってきているようです。さらなる投資を呼び込むためには、充実したインフラ整備が欠かせません。その中でも上下水道は、最優先で取り組むべき課題でしょう。米中の覇権争いが激化する中、インドの存在感は否応なく高まってきます。民主主義勢力の一員として、日米主導でバックアップしていく必要性がありそうです。

世界には解決すべき問題が山積しています。これまでの財政制約にしばられていては、解決することはできないでしょう。