南米はMMTを実践してハイパーインフレに?低レベルなMMT批判

2019年5月18日

日本では、MMT(現代貨幣理論)に関する議論が盛り上がっています。本場米国でも同じで、賛成派、反対派による論戦が繰り広げられています。ぼくは当然賛成派で、それはMMTが注目される前、このブログを開設した2018年3月以降一環して主張していることと同じ路線につながっています。

それでも反対派の主張にも耳を傾けることは大切なので、今回はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の経済学者セバスチャン・エドワーズ氏の記事を少し覗いてみたいと思います。

タイトルは「大災害を招くMMT(現代貨幣理論):Modern Monetary Disasters」と刺激的です。

一行目から「南米の実験が今話題のMMTに明確な警告を発している」ときました。後は読む必要がなさそうです。想像できますから。MMTの反対派はしばしばMMTについて、「財政赤字を気にすることなく政府はいくらでも支出できる」と短絡的に解釈しますが、「インフレ率に制約される」というのもMMTの肝です。

発展途上国が多く、生産力がぜい弱な南米ではインフレに振れやすいのは当然です。MMTを語る上で最適な国は、生産力が高く、長年低インフレに悩む日本のはずです。まあ、一流経済学者らしいので、あきらめずに先を読み進めたいと思います。

以下、同氏の記事の要約です。

”ロサンゼルスでも、MMTは経済政策の新たなアプローチとしてホットトピックとなっていて、進歩的な政治家、大統領候補のバーニー・サンダースやオカシオコルテスなどが支持しています。しかし彼らは、同様の主張の元経済政策を採用した結果、経済的に大打撃を受けた南米から学ぶ必要があります。

MMT支持者によると、大規模な公共インフラの整備や雇用保障プログラム(Job Guarantee Program)の財源に、米国の中央銀行がお金を刷ればよいと主張します。巨額な財政赤字の増加は、米国のような自国通貨建てで借金できる場合は問題にならないといいます。

このような非伝統的な見方は、ケインジアンやマネタリストから批判を浴びています。著名な経済学者、ポール・クルーグマン、ケネス・ロゴフ、ローレンス・サマーズなどからも、「MMTは意味をなさない」と一蹴されています。

MMTの評価は2つの理由で難しい。ひとつが、MMTの支持者は統一され、かつ詳細な経済モデルを提示していないこと。クルーグマンは最近、「MMT支持者はこれまでの経済概念と何が違うのかを明確にしていないし、主張を意味のあるものにしようともしない」と書いています。そして、MMTが中長期的に経済政策にどう活かされるのかも明確にしていない。”

その後の同氏の主張は、「チリ、アルゼンチン、ブラジル、エクアドル、ニカラグア、ペルー、ベネズエラではお金を刷り過ぎてインフレになり大変なことになったんだぞ。MMTは南米から学ぶべき」と続きます。

結局最後まで、なぜ日本が政府債務残高を増やし続けてもインフレにならないのかを説明しませんでした。MMTを語る上では、生産力の高い先進国、低い発展途上国との対比は不可欠です。やっぱり、読むに値しなかったようです。

まとめ

結局MMTを反対する人たちは、「制御できないインフレになる」と危機を煽ります。その度「南米など発展途上国はそうかもしれませんが、日本では2%のインフレ目標も達成できず困ってるのに」と困惑してしまいます。言い換えれば、財政赤字を増やして市場に回るお金を増やせばインフレになると認めているのです。「じゃあ生産力が大きくそれが許される国では、もっと増やしましょうよ」というのがMMT支持者の主張なのですが、何か問題でも?