上海のiPhone製造工場に潜入。スマホの普及を支えている末端作業者の生活

ニューヨーク大学の大学院生Dejian Zeng氏が、iPhoneの製造工場に6週間潜入したときの様子を語っています。台湾のOEM企業ペガトロンの上海工場です。


Zeng氏は一日12時間、スピーカーをiPhoneの背面ケースにネジで取りつける作業に従事していました。仕事は午後7時30分から始まり12時間工場内にいますが、休憩時間を引かれると実質10時間30分の労働になります。作業は同じことの繰り返しなので飽きます。

給料は月3100元(約4万8000円)で、基本給、残業費込みです。休みは日曜日だけです。作業員は約7万人で、敷地には広大な7つの工場があります。作業着、青い帽子、ピンクのシャツにブルーのズボン、スリッパ1式が支給されます。着替えや荷物を置けるロッカールームがあります。

iPhoneを持つ作業員は少なく、ほとんどが中国製の安いスマホを使っています。IDカードをスキャンし、顔認識で扉が開くと工場内へ入れます。さらに、金属探知機の列に並びます。iPhone6SからiPhone7の生産になると、セキュリティレベルが上がったといいます。

マネージャーが怒鳴るのはルーティンワークのようで、階段には落下防止ネット、窓からは飛び降り防止の柵が設けられるなど、自殺を防ぐ装置があります。

敷地内・外の寮に住みZeng氏はシャトルバスで10分の敷地外の寮に住んでいました。8人部屋で、20部屋あるワンフロアに風呂、トイレがひとつずつあり、約200人でシェアします。作業員は仕事の後は部屋でスマホで映画を観て過ごすか インターネットカフェでゲームをします。

工場の食堂では8種類の定食があり、肉なしで麺と野菜のセットだと5元(約78円)程度です。作業員は18から30歳の男性が多く、社会性が高くフレンドリー。 休日は近くのショッピングモールのレストランで、仲間と食事やお酒を飲みます。寮では禁酒・禁煙で、酔った状態では寮に入れません。喧嘩の原因になるからです。

離職率は高く、2週間や1カ月で辞める人が多いといいます。仕事に誇りを持っている人は少なく、お金のための仕事と割り切っているようです。

まとめ

程度の差はあれ、日本の製造現場でも似たような環境は今でもあると思います。企業は必要最低限の人件費で、利益の最大化を図る組織ですし、その社会システムで多くの人たちが生活しています。しかし、経営陣と一般労働者の格差が広がる行き過ぎた資本主義の限界も既に臨界点に達しているような気がします。持続可能で、より理想的な社会システムとは何かが問われています。