28年ぶりに税収が過去最高に。現実は国民の負担増・企業の負担減

18年度の税収が60兆円を超え、バブル期超えの過去最高になりました。

 

財務省は大喜びでしょうが、一般的な国民にとってまったくうれしいことではありません。賃金上昇が低迷する中の税収増は、単に国民の負担が増えていることを意味するからです。理想的な税収の増え方とは、バブル期のように賃金、消費、企業利益が確実に増え、自然に税収に反映されることです。

「好調な企業業績を背景に、賃金の上昇や配当の増加に伴う所得税の増加が寄与した。」とありますが、理想的な税収の伸びだと勘違いしてはいけません。財務省HPで確認できる、一般会計税収の推移を以下に提示します。

これまでの最高税収は、1990年(平成2年)の60.1兆円です。グラフには、報道の「60兆円超え」が反映されていませんが、2018年(平成30年)の税収は59.1兆円になっています。

注目すべきは、26兆円あった所得税が、19兆円まで減っていることです。確かに近年は報道の通り、「所得税の増加」傾向にありますが、28年前より7兆円も少ないのです。一般労働者の賃金は、それだけ低下してきたことを意味します。

また、消費税は4.6兆円から17.6兆円も増える一方、過去最高益を上げている企業が払う法人税は、18.4兆円から12.2兆円に減っています。要するに、一般労働者の所得が減る中、消費税や社会保障料などで負担が増やされ、企業の負担だけが減らされてきた約30年だったことになります。まったく喜べることではないのです。

まとめ

企業が経済のエンジンとして機能し、パワーを増せば日本経済全体を潤すという考えの下法人税が減らされてきました。確かにバブル崩壊まではそうでした。しかしバブル崩壊後グローバル化が一層進み、世界と戦わなければならなくなった企業には賃金を上げる余裕がなくなります。賃金が増えないと消費も伸びないので国内の経済は低迷しますが、輸出で稼げる企業にとって関係ありません。むしろ、国内経済が低迷する方が安い労働力を確保できるため、企業にとって好都合です。

税制も社会システムも、一般労働者が貧しいまま企業が儲かる仕組みが完成しました。企業が儲かれば、株などの資産から収入を得られる富裕層もハッピーです。もうこの国には、国民のための経済という理想は既に消え去ってしまっているのです。この流れを変えるためには、国民経済を念頭に置いたドラスティックな意識改革と、社会システムの変革が求められています。