日本は格差の大きな国。政府の役目は分配の公平性を保つこと

ツイッターでは「税金泥棒」発言を発端に、税金に関する不満が噴出しています。悲しいのは所得の大小で分断が起きていることで、所得の大きな人からは「多く税金納めてるんだから貧乏人は感謝しろよ」なんて下品な物言いも聞こえてきます。

被雇用者であれば誰もが取られ過ぎだと感じる気持ちは分かりますが、そんな発信に何か意味があるのか疑問です。問題はそんなレベルではなく、以下のように払うべき人・組織がもっといるのではないか、ということです。

政府の大きな仕事は、徴税したお金を公平に分配することです。公平でない社会は犯罪が増え、安定した生活が送れません。かといってお金持ちからお金を吸い上げ、すべての家計に一律に分配する完全な共産主義では世界で戦えるビジネスが育たず、経済成長できなくなるため徴税と分配のバランスが重要になります。

そのバランスを保つのが政府の役目なのですが、「それがうまくいってないのに消費税や社会保険料を上げるのはおかしいんじゃなの」との思いはあります。例えばOECDの所得不平等(Income inequality)に関するデータでは、日本は2015年当時、38カ国中14番目に格差の大きな国でした。

何となく、日本は公平性が高く社会主義的な社会とのイメージがありますが、国際比較では決してそんなことはありません。政府としては貧困層の可処分所得を高める努力が必要なのに、逆に貧困層の負担も増やす消費増税をしようとしているから反対せざるを得えません。

2001年発刊、日下公人氏と青木雄二氏の対談本『「マネー」より「ゼニ」や!』で日下氏は、成長と分配について語っています。

日下氏は、「成長(資本主義)と分配(共産主義)」、どちらを重視する社会になるかは30年おきぐらいに交代するといいます。成長重視でケーキを大きくすると格差が広がります。そこでケーキを切り分けて分配するのですが、いつまでもそれを続けていると人々は働くなり、ケーキが小さくなります。そこで、成長を重視する社会に再び転換します。悲しいことに、この20年は成長、分配とも失敗しているのが日本です。

重要なのは成長と分配どちらにも偏り過ぎず、絶妙なバランスをとることです。MMT(現代貨幣理論)や反緊縮、反グローバリズムを主張すると「共産主義がいいのか?」と言われますが、単に行き過ぎた資本主義を戻そうと主張しているだけです。

アベノミクスによる資産バブルで、株や土地など資産を持つ企業や富裕層の富は拡大しています。一方で、賃金上昇は鈍く庶民まで恩恵が十分に行き渡っていないのが実情です。庶民には、「もっと公正な社会」を政府に求める資格が十分にあると思います。「税金泥棒」なんていわれはありません。

まとめ

青木雄二氏は2003年に、58歳の若さで肺がんのため亡くなっています。『ナニワ金融道』の作者で、意外にもガチガチのマルクス主義者でした。同対談本の中で青木氏は、金持ちになった今でも公平な社会がいいと力説します。

「僕としては、競争のない社会のほうがずっと人間らしい生き方やないかなという気がするんです。(原文のまま)」

行き過ぎた資本主義は人間性を破壊します。堀江や孫正義氏からは、絶対聞くことのでない一言です。