バブル崩壊の衝撃。1990年代の財政出動は効果がなかったのか?

最近でもたまに目にするのが、「1990年代の財政出動は効果がなかった」ことを理由に、現在の財政出動に対して否定的なコメントをする人です。何をもって「効果がなかった」と言っているのか不明です。

1990年前半に突然訪れたバブル崩壊は、日本国内の資産価値が一気に下落する、一国レベルのバブル崩壊としては史上最大規模のものだったと思います。とはいえ、その被害は土地や株などの資産を持っていた経営者や企業、銀行に留まり、直接的には庶民にそこまで影響がありませんでした。そのためか政府は当初、楽観的な見方をしていたようです。

しかし一気に負債を拡大させた企業は、一斉に設備投資を控えてしまい、実体経済への影響は避けられない状況になります。そこで政府は1990年から96年の間、65兆円の経済対策を打ちます。そのお陰で、何とがGDPを緩やかに成長させることができたのです。

出典:NIPPONの数字

しかしその成長も、1997年で頭打ちになってしまいます。

出典:NIPPONの数字

1997年は何があった年でしょう?そう、3%から5%への消費増税です。さらに、政府支出を減らす緊縮財政が本格化した年です。ここで、「財政出動は効果がなかった」との声が大きくなってきたのです。実際は、企業の設備投資の落ち込みを埋め、さらに上向かせるだけの効果があったはずです。しかし、拡大する財政赤字にビビったのか、上向き始めた景気をいいことに一気に緊縮財政に舵を切ってしまいました。これが「失われた20年」の始まりです。

まとめ

今でも「財政出動には効果がない」とのイメージが蔓延り、成長できない、災害に強い国土を作ることもできない国になってしまいました。確かに、何に財政出動をすべきかが重要な選択になりますし、無駄も生じます。しかし、それが国民の命よりいわゆる「財政規律」が優先されるべきではありません。バブル崩壊、デフレへの適切な対処を怠ることで、実際に多くの命が奪われているのです。