世界で貧富の格差が広がっている。米国式の減税では富裕層を利するだけ

自由な競争原理に基づいた資本主義では、格差の拡大は避けられません。世界で見れば、「2017年、高所得者の上位10%は1人当たり月額平均7475ドル(約80万6千円)を稼いでいたが、底辺の10%は同22ドルに過ぎなかった。」といいます。

資本主義のシステム下で高所得を得ようとすれば、できるだけ安いコストで大きなリターンを得るしかありません。安いコストには人件費が含まれ、システムの維持のためにはどうしても低賃金の労働者が必要になります。そこで政府が調整することで、できるだけ所得の差が大きくなり過ぎないようにするのですが、格差が拡大している現実は、それがうまく機能していないことになります。

経済成長して全体のパイを大きくすれば、低賃金労働者たちの取り分も増えるはずです。その考えに基づき、トランプ大統領は法人税率を35%から21%へ、個人の所得税の最高税率を39.6%から37%に引き下げる、10年間で1.5兆ドルの大型減税を強行しました。

その効果で企業業績は伸び、設備投資も増え賃金も上昇しています。しかし、好調な景気による税収の伸びが思ったほど弱く、財政赤字が史上最高のペースで増えています。結果、財政赤字拡大が医療や教育など福祉関係費の削減につながり、庶民の生活コストを引き上げているのです。これでは多少所得が上がっても意味がありません。

確かに国民を豊かにするためには企業の成長は欠かせませんが、その恩恵が労働者全体に及ばないのであれば、軽くなった企業の税金を労働者が負担していることになり、益々経営者などの富裕層と貧困層の格差は拡大するし、実際に米国ではそうなっています。

まとめ

日本でも法人税が引き下げられ続けてきた一方で、消費税や社会保険料が引き上げられ続けてきました。企業業績は史上最高レベルまで良くなりましたが、賃金の伸びは鈍く、これでは労働者の富が企業に吸い上げられている米国と同じ構図になってしまいます。しかし、日本は米国と違い全体のパイが大きくならず、ひたすら財政赤字削減のため公共事業を増やすこともできない状況です。積極的な減税で経済成長を実現し、経済政策を兼ねて2兆ドルのインフラ投資を計画している点においては、アメリカを見習ってほしいものです。