転換点を迎える資本主義。「共通善」のための経済政策とは

カリフォルニア大学の教授クレア・ブラウン氏が、米国の資本主義は変わるべきと説きます。以下、要約です。

米国はもっと資本主義を理解すべき

米国は、より良い資本主義システムを構築するためのリソースを備えています。現在の幸福度をもっと高め、将来世代のためにもっと公平で持続可能な社会システムを創出する経済政策も明確になっています。今米国に必要なのは、そんなシステムを構築することができる大統領と国会議員を選ぶことです。

2020年の大統領候補者たちは、自由市場や社会主義とカテゴライズされる経済政策を提案しています。そのようなイデオロギーの名称は、一般の米国人たちを混乱させます。資本主義と自由市場は同義語であると、勘違いされたまま広まってしまっています。実際に資本主義とは、自由市場から社会民主主義まで、財産の私的所有権を有するあらゆる経済システムを含みます。

多様な形の資本主義は、どのように市場を運用するかという基本的なルールの下進められます。例えば財産の保護や法律の支配など。ほとんどの資本主義社会は、弱者救済のための社会プログラムを整備します。そのため資本主義国の政府は、2つの基本的な選択に迫られます。一つ目が、「共通善」のために市場ルールを整えるか、または自由市場に任せてビジネスの最大化を目指すかです。二つ目が、不平等の是正や環境保護のためにユニバーサルな社会プログラムをデザインするか、または社会プログラムの規模を縮小し、政府支出を削減するかです。

政府の選択は、不平等、温室効果ガスの排出、幸福度のレベルに大きく影響します。民主党候補者の経済政策を適切に評価するため、彼らが市場をどのような構造にするのか、どうやって社会プログラムを創出・拡張すると主張しているのかを理解する必要があります。

トランプ大統領は、彼らの政策を「社会主義」と馬鹿にし、市場が機能するためにはルールが必要なことを理解せず、自由市場を賛美します。そして、政府がルールを決めるより、グローバル企業が自ら市場のルールを決めることを善とします。ビッグテックや多くのグローバル企業の独占化が進む中、規制緩和は競争を促進しません。大企業が自分たちのやりたいを事を優先している状態を、放置しているのが今の政府です。

例えばエネルギーセクターでは、トランプ大統領は大手石炭、石油、ガス企業に米国の気候変動対策を丸投げしています。化石燃料に頼る米国では、大企業の経営者がどれだけ環境を汚染して、どんなペースで再生可能エネルギーへの転換を進めるのかを決定します。医薬産業では、大手製薬会社が薬の値段を自由に決め、保険会社がセクターの利益の4分の1を収奪します。

軍事産業複合体はペンタゴンをコントロールし、投資銀行はウォールストリートを動かし、巨大な農業コングロマリットは米国の農地を支配しています。

市場の集中は少数のグローバル企業の独占化を促進し、市場価格の高騰や経営者の巨額な報酬を招きます。現独占企業は、市場での影響力を維持するため新規参入者を潰します。過剰な利益は都合の良い政治家を議会に送り込むため、または独占を維持するために政府に働きかけるロビイングに使われます。そのような動きは、民主主義のパワーを阻害します。

以上のことは、バーニー・サンダースやエリザベス・ウォーレンなどの民主党候補者が非難しています。両者の主張の細部は異なりますが、政府による「共通善」のための市場を取り戻す必要性を訴えます。具体的には、富裕層や大企業の増税、独占禁止法や環境保護法の強化、弱者救済のための社会プログラムの整備などです。

他の中道寄り民主党候補も一部の主張に同意しますが、コストがかかり過ぎたり、自由を阻害したりするとも主張します。それでも米国の資本主義システムは、気候変動や格差拡大是正のため大きな変革が求められています。欧州の国々は、広範な政府プログラムが経済の繁栄をもたらし、自由との両立も実現しています。米国でも、そのために必要な大統領と議員を選出することで実現できる土壌は整っているのです。

<後略>

まとめ

この記事のコメントをみると、否定的な意見がほとんどです。確かに、欧州の経済政策が見習うべきものなのかは怪しいものです。それでも米国では、若者を中心に民主党の社会民主主義への期待が高まっています。記事にもあるように、問題なのは資本主義が民主主義を駆逐していることです。公正な社会を再構築するため、今のような民主主義ではいけないとの認識が広がっているのは確かです。日本でも、山本太郎議員や「れいわ新選組」へ関心が高まっているのもそのためです。日本でも米国でも、民主主義を取り戻すために必要な人材を、選挙で国政に送り込む必要性が高まっています。