ステファニー・ケルトン教授の来日でメディアがMMTを一斉報道

MMT(現代貨幣理論)を提唱する米ニューヨーク州立大学教授のステファニー・ケルトン氏が来日しました。MMT国際シンポジウムでの講演・記者会見を受け、メディアが一斉にMMTについて報道しました。

日本の巨額債務「問題なし」=消費増税を批判-MMT提唱者(時事通信)

「財政赤字は悪でない」MMT国際シンポ開催 S・ケルトン教授講演 (産経新聞)

「財政赤字は悪でも脅威でもない」MMT提唱の米教授(朝日新聞)

MMT提唱者ケルトン教授「中銀依存より財政政策」(日経新聞)

「消費増税はいらない」世界注目の経済学者が来日(テレビ朝日)

MMT提唱のケルトン教授「インフレ抑制不要なら消費増税は意味ない」(ニューズウィーク)

インフレ抑制不要なら、増税は経済的意味なさない=MMT提唱のケルトン教授(ロイター)

などなど。タイトルを見る限り、MMTの重要な点について中立的に報じているようです。内容についてはどうでしょう?

 

冒頭から、核心をつく一文で始まります。「消費税率引き上げは、インフレ圧力を減らすのが目的ならば適切だが、インフレ圧力を減らす必要がない場合は経済的意味をなさないと話した。」。

日本では、6年以上も安倍政権が掲げる2%のインフレ目標を達成できていません。一般的なインフレは、モノやサービスの価格が高くなることで誘引されます。日本ではもっと消費が増えないとインフレにならないのですが、消費増税はその消費を抑える効果があるので意味がないのです。

しかし日本では、「財政赤字が大きいため、増税で借金を減らさないと破綻する」との考え方が一般的です。多くの人が、「消費増税は嫌だが仕方がない」と受けて入れているのが実情です。MMTが注目されるのは、そんな常識が間違っていると指摘している点です。それを説明するのが次の内容。

「MMTは、自国通貨発行権を保有する政府は物価上昇率が過度に高まらない限り積極的な財政支出を重視する理論。通貨発行権を持つ国家は紙幣を印刷すれば借金を返せるため、財政赤字で国は破綻しないと説明する。」

すべの国債は円建てです。円という自国通貨を発行できる日本政府は破綻しません。そんな歴然とした事実があるため、最近は「破綻はしないが、財政赤字が無制限に拡大するとハイパーインフレになる」と財政危機の理由がスライドしてきました。そうなると話は最初に戻りますが、今はインフレ圧力の抑制が必要な時ではありません。

さらにケルトン氏が言うように、「MMTは財政赤字を問題視しない、紙幣の無限印刷を容認しているとの見方は誤りで、インフレにならない範囲で財政支出の規模を考える理論」です。「紙幣の無限印刷でハイパーインフレ」と悪質な印象操作を試みる人たちもいますが間違いです。MMTはそんな極論ではなく、「今日本は消費増税、社会保障や公共事業の削減といった緊縮財政をすべきではない」ことを裏付けているだけです。

日本国民にとって歓迎すべき理論だと思うのですが、なぜか「国民に痛みを伴う政策」の方が受けがいいのが日本です。「人生は苦しいもの」とでも考えているのでしょうか。

まとめ

MMTはまだまだ一般には浸透しておらず、経済に無関心な人が記事を読むことは少ないかもしれません。しかし、メディアでこれだけ大きな注目を浴びることで、これまでのような「国の借金1000兆円」プロパガンダを垂れ流しするのは難しくなるのではないでしょうか。一日も早く、「お金とは何か」、「経済とは何か」の正しい情報を国民で共有できる時が来ることを切に願います。