消費増税の裏で引き下げられてきた法人税の優遇処置は是正すべき

山本太郎代表率いるれいわ新選組が公約で消費税ゼロを掲げ、財源として国債だけでなく、所得税の累進課税強化や法人税の引き上げを提案していることから、SNSでは法人税について話題になっています。

法人税を払ってないとして、ターゲットになりやすいのが大企業。「大企業は既に法人税をたくさん払っている」という、大企業やアベノミクス(ほぼ死語になりつつある)を擁護する意見を見ました。2012年と少し古いデータですが、資本金1億円超の大企業は全法人数の0.9%でしかありませんが、全法人税収65%を納めています。

確かに一般には知られていないデータで、「大企業めっちゃ法人税払ってるじゃん」と思いがちですが、数字のレトリックに気をつける必要があります。その0.9%の大企業が、どれだけの売り上げや経常利益があるかが重要になるからです。もし、全法人の65%の儲けがある場合、全法人税の65%を支払うのは適切です。残念ながら正確な情報が見つかりませんでした。推測ですが、全法人の儲け50%程度は、資本金1億円超の大企業が得ていると思います。

「やっぱり大企業が優遇されているわけではないじゃん」という話ではなく、今の法人税は中小、大企業にとって、ゆるゆるの税制になっている問題があります。法人税は黒字になると払う必要がありますが、2015年度の黒字の中小企業の比率は約36%にとどまっています。

さらに所得があった中小企業の所得でさえ、72.9%が軽減税率特例(15%)が丸々適用される800万円以下で申告しているといいます。明らかに、節税を目的とする巧妙な決算操作が横行しています。中小企業を中心に6~7割の企業が法人税を納めていないという歪な状況が放置されたまま、さらに法人税を下げるという愚策を継続してきたのです。

かといって大企業がしっかり収めているわけでなく、比較対象の中小企業があまりにも法人税を納めていない問題を認識する必要があるのです。大企業の税率は中小企業よりも高負担ですが、大企業の多くで利用されている「受取配当金の益金不算入」、「租税特別措置による減税」、「欠損金の繰越控除」の3つの優遇策で、負担を軽減できます。中小企業も大企業も、名目の税率からは見えない形で優遇され、もっと払うべき税金があるだろうというのが正直な印象です。

諸外国の法人税率を単純比較しただけで「日本の法人税は高い」と判断するのではなく、巧妙な決算操作で節税ができる日本の特殊な状況も考慮する必要があります。高所得者の所得税もそうで、利益に最高税率45%の所得税が課せられるのを嫌う個人事業主が、節税を目的として設立する法人、いわゆる「法人成り」も問題化しています。これらの問題を是正することなく、他国に合わせて法人税を下げ、一方で消費税を上げるのでは不満の声が高まるのは仕方がないことではないでしょうか。

まとめ

やはり、所得税や法人税について調べると、高所得者や企業が優遇される税制になっていることが明るみになります。大企業で構成される経団連が、消費増税と法人税減税のセットを推奨するのは当然のことで、その通り日本では進められてきました。

れいわ新選組の法人税増税に反対する人たちは、所得税の累進課税強化、法人税増税で富裕層や企業が海外へ逃げると心配し、消費増税に賛成しています。それより、高所得者や企業が簡単に抜け道を用意し節税ができる今の税制を、何とかすべきではないでしょうか。