外需の低迷で財政ルールの緩和圧力が高まるドイツ

2019年8月16日

ドイツで政治家やエコノミストなどから、財政収支を最優先とするアプローチからの脱却を求める声が上がっています。

ユーロ圏では第2四半期の成長率が急減速したことから、財政出動の必要性が高まっています。ドイツの第2四半期成長率のGDP成長率は前期比-0.1%で、米中の貿易を巡る緊張から、特にドイツ経済を支えてきた自動車産業の不調が大きく影響しています。


source: tradingeconomics.com

ドイツでは2014年以来、厳しい財政ルールの下、Schwarze Nullと呼ばれる財政黒字の状態が続いており、財政黒字の継続はドイツ政府が最優先課題として掲げてきました。過去のハイパーインフレの経験が国民に深く刻まれているため、放漫財政によるインフレを過度に恐れていることが背景にあり、ドイツでは構造的財政収支増加幅を、平時にはGDP比で△0.35%以内に抑制することが定められています。


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しかしここにきて、エコノミスト、財界、野党、および与党連合のメンバーからもSchwarze Nullへの批判が高まってきました。中でも、通常はドイツ経済正統派の立場のドイツ産業連合から強烈な批判が起きています。

ドイツが財政黒字(政府の黒字)を続けられてきたのは、民間の赤字や貿易黒字(外国の赤字)による経済成長が可能だったためです。ドイツのGDPに占める輸出依存度は約4割と高く(日本は約15%)、世界の景気低迷により輸出が落ち込むと、今回のようにGDPが一気に落ち込みます。

その落ち込みを埋め合わせるため政府の赤字が必要になり、財政ルールの見直しの声が高まっているのです。ごく真っ当な経済政策を求める声です。外需、内需が落ち込もうとも、常に財政赤字の縮小を追求するどこかの国も見習ってほしいものです。