米の富豪ジェフリー・エプスタイン被告を巡るやばすぎる闇

10代の少女らへの性的虐待容疑で7月に逮捕されていた米の富豪ジェフリー・エプスタイン被告は、翌月の8月、裁判開始前に自殺しました。エリザベス女王の第3子アンドルー王子、イスラエル元首相、クリントン元大統領など、エプスタイン被告が売春を斡旋した顧客には世界各国の要人が名を連ねていたことから、事件の余波は今も続いています。

被告の死で事件をうやむやにさせてはならず、是非とも追求を続けてほしいと考えていますが、日本での取り扱い方は小さいと感じます。以下、事件を巡る経緯を簡単にまとめましたが、これだけでとてつもないヤバさが理解出来ると思います、

エプスタイン被告は、証券大手のベアー・スターンズを経て、投資や財務コンサルティングなどで財を成した大富豪です。ニューヨーク・マンハッタン、フロリダのパームビーチ、ニューメキシコ、パリやヴァージン諸島に邸宅を所有し、財産の総額は5億7767万ドル(約612億円)もあったそうです。

2001年ごろ、パームビーチなどの邸宅にマッサージのアルバイトと称して10代の女子中高生らを招き入れ、1回200〜300ドル(約2万1000円〜3万2000円)ほどの報酬で性的行為に及んでいました。さらに知り合いの紹介にも報酬を支払い、被害はねずみ算式に拡大。少女の勧誘は米国内にとどまらず、欧州や南米にも及んでいたといわれます。

2005年に被害者少女の保護者が警察に相談して問題が発覚し、2008年に少女の売春勧誘、売春斡旋で有罪判決を受けます。当時の捜査で100人を超す被害少女が特定され、終身刑の可能性がありましたが司法取引の結果、13カ月の禁固刑に処されます。収監先は監視の緩やかなパームビーチ郡の刑務所で、1日12時間、週6日は外出し、自らのオフィスに滞在することを許されていました。

そして2018年11月、地元のマイアミ・ヘラルドが調査報道で、改めてこの司法取引の疑惑を追及します。報道をきっかけに司法省が調査を開始し、エプスタイン被告は再逮捕され、起訴に至りました。2019年7月6日、自家用ジェットでパリから米ニュージャージーの空港に到着したタイミングで逮捕されました。

ネットメディア「ヴァージ」は8月9日、エプスタイン被告の被害者の法廷証言資料をもとに、
同被告のヴァージニア諸島の邸宅で性的行為を強要された相手として、英国のアンドルー王子や元米ニューメキシコ州知事ビル・リチャードソン氏、マサチューセッツ工科大学のミンスキー氏の名前が挙げられていると報じました。アンドルー王子とリチャードソン氏は関与を否定しています。

また被害に遭った女性たちは世界中の要人と性関係を強要されたと証言しており、顧客リストと噂される黒手帳にはエリザベス女王の第3子アンドルー王子、イスラエル元首相、クリントン元大統領などが名を連ねています。保身のためコピーを持ち逃げした元執事は、警察に隠していた罪で禁錮18カ月となっていましたが、獄中で病死しました。

事件解明の最重要人物であるエプスタイン被告も、全米一監視の厳しいはずの留置所で自殺未遂で病院に運ばれ死亡しました。絶対自殺できないといわれる場所で、なぜ監視ノーチェックの空白の時間が生まれたのかは分かっていません。

被告の資金援助はアカデミズムへも波及しており、2008年の有罪判決後の寄付について問題視されています。MITメディアラボは20年で計80万ドル(約8500万円)の寄付金を受け取っていました。伊藤穣一氏の個人ファンドには120万ドル(約1億2500万円)の寄付があったことから、伊藤氏は謝罪しMITメディアラボ所長を辞任しました。

この件に関し、伊藤氏は8月15日に事実を認め、「資金援助を求めるため被告の島を2度訪れたが、犯罪行為のことは知らなかった」と釈明しています。寄付は被害者支援団体に寄付し、ファンド投資は返還すると発表しました。しかし、エプスタイン邸をよく知る人たちの証言には「あらゆる部屋に未成年女子のヌード写真が飾られていた」、「シャンデリアやチェスボードもそういうテーマのものだった」、「掴まって檻の中にいる自虐ネタの巨大な自画像まであった」というものがあり、知らなかったでは全く説得力に欠けます。

まとめ

世界的な富豪たちが、金にものを言わせて少女たちを食い物にしたおぞましい事件です。しかも、金で法を歪めさせたかのような不可解な司法取引は、正義の国であるはずの米国の名誉を著しく傷つけました。批判の多いマスコミですが、今回の被告再逮捕につながった追求は、正義と良心がかろうじて残っていたことを世に知らしめる勇気のあるものだったと思います。しかし、巨大な闇はそれを許しませんでした。重要人物の2人の死が、それを物語っています。

個人的には、尊敬していた伊藤氏が汚れたお金を受け取っていたことに落胆しています。研究成果と倫理観は切り離すべきとの意見もありますが、事件のおぞましさから割り切れない心境です。司法やマスコミには、近年まれに見る絶対的な悪への徹底的な追求を期待しています。