映画『アド・アストラ』の感想。ミラクル過ぎる展開がちょっと(ネタバレあり)

『アド・アストラ』は、ジェームズ・グレイ監督、ブラッド・ピットとトミー・リー・ジョーンズ出演の宇宙映画です。前回、宇宙映画の『ファースト・マン』をIMAXで観なかったことを後悔したことから、今回は400円の追加料金を払ってIMAXで鑑賞しました。

出来るだけ前情報が入ってこないようにしていたため、「遠い宇宙の果てに父親を捜しに行く物語」程度の認識で挑むことができました。それでも評価はちらちら目にしていて、海外メディアでは絶賛とか言われていましたが、一般レビューでは5段階で3程度の評価だったので、一抹の不安も正直ありました。

しかし、その不安は冒頭のシーンから吹き飛びました。宇宙飛行士のロイ(ブラッド・ピット)が、「国際宇宙アンテナ」の点検のミッションをする場面から始まります。そこに“サージ電流”が発生し、アンテナが故障、所々で爆発が起こり、外で活動していたロイを含めた数名が落下します。「宇宙軌道上にあると思われる場所から、地球に落下するのか?」と思いましたが、その辺りの科学的検証は不問にする程、落下から生還するまでの映像は迫力のあるものでした。

迫力の映像と音響は、現在考え得る最上級の映像鑑賞システムとされるIMAXの効果だと思うのですが、正直通常のシステムよりかなり優れているのかといえば、そこまで違い感じませんでした。

その後ロイは、16年前、地球外生命体を探索するリマ計画に参加し、消息を絶っていた父親が生きている可能性を告げられます。父の影響でサージ電流が発生している可能性があり、それを止めるべくロイは火星に送られます。『ファースト・マン』は、初めて月に降り立ったニール・アームストロングの話でしたが、『アド・アストラ』は旅行感覚で月に行ける時代の話で、月から火星も約20日で行ける場所になっています。

ロイは父と再会するため、地球→月→火星→海王星と旅することになります。ぼくがストーリーに没入できたのは月に到着するまでで、そこからのミラクルな展開に白けてしまいました。月では資源を巡る争いが起きており、略奪者に襲われます。火星では地球に帰還されそうになりながら、海王星へと出発する宇宙船に侵入し、クルー3人と争い、ロイ以外は命を落としてしまいます。一人きりになったロイは、孤独と戦いながら海王星の軌道上にある父親の探索船を目指します。

最終的にロイは父親と再開を果たしますが、父親は帰還を望んでおらず、海王星での死を選びます。ロイはサージ電流の発生源を破壊するため核爆弾を仕掛け、その爆風を利用して地球まで生還を果たします。ロイの父親に対する葛藤が大きなテーマなのは分かりますが、地味な展開ながらスリリングだった『ファースト・マン』と違い、宇宙の怖さが伝わってこなかったのが個人的に残念だと感じました。

映画を観て他のレビューを確認しましたが、やはり科学的に不自然な点を理由に低評価にしている人が多いようです。中には、息子と父親の心の動きが丁寧に描かれている点を評価している人もいます。映画館で号泣した人もいたそうです。

もしかして、その点においてぼくが鈍感だったのは、父親への思いがそれほど強くはないからかもしれません。父親は今でも健在で、育ててくれて感謝していますが、ぼくにとってそれほど大きな存在ではありませんでした。ファザコンには堪らなく感情移入できる映画なのかもしれません。娘に思い入れが強いぼくが、『ファースト・マン』で涙を堪えきれなかったように。

まとめ

映画は、観る時に自分が置かれた状況で印象ががらりと変わってしまいます。例えば「万引き家族」がTVで放映された時、近所の子どもたちは、同じぐらいの年の子が万引きをすることに衝撃を受けたり、エロな展開に気持ち悪さを感じたりしていました。親の立場としては、子どもに犯罪行為をさせることへの嫌悪感、生き辛い社会への憤りなどが心に浮かびます。『アド・アストラ』も、父親への思いが強くなった時に観れば、また違う見方ができる、そんな映画なのかもしれません。