凡人にでも「バビロン大富豪の教え」は黄金の法則になり得るのか?

『漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』のお試し版を読みました。最近、この手の本がよく目につきます。

といっても、最近注目されはじめたテーマではなく、 『バビロン大富豪の教え』は金融の起源と言われている古代バビロニアから伝わる「人類不変の知恵」だそうです。「お金儲けのテクニック」ではなく、資産をを増やし、お金に縛られず、充実した人生を送る方法を教えてくれるという触れ込みです。

世界的ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』とも内容は共通しています。同じくお試し版を読んだ『ビンボー病の治し方―――「お金がない」と嘆くヤツほどお金を大事に使ってない!』も同じです。要は、「豊かな人生を送るために、お金の正しい使い方を考えましょう」と問題提起してくれる本です。

昨日はエントリーで資本主義の限界について書いたばかりですが、これらの本は資本家になるための心構えを説いています。古代から、社会システムを形成してきたのは資本家です。そんな資本家に便利に使われるのではなく、資本家側、つまり社会の支配者側になるためにはどうすべきか。そこまでいかなくても、お金のために死ぬまで労働に追われる人生にならないためにどうすべきか。それは、お金についての認識を変えることから始まります。

多くの人は、お金は日々の生活費のために稼ぎ、余ったら将来のために貯蓄するものと考えますが、資本家になるためには所得の一部を資産形成のために使う必要があります。貯蓄ではなく、投資です。「お金は将来のために貯めるものではなく、将来のために働かせ新たな富を生むもの」と考えを改める必要があります。

この考え方には賛同します。将来成長するであろう分野に投資をするだけで、その分野で働く人たちが投資したお金以上に価値を高めてくれ、大きなリターンを得られます。自分が働かなくても、お金が勝手に働いてくれるのです。貯蓄ではそうはいきません。

とてもシンプルな法則ですが、中々うまくいくものでもありません。あらゆる産業が成長していた高度成長期とは違い、日本では20年以上も低成長の時代が続いています。その中で成長する産業を予測するのは難しく、価値が高まるどころか下がる可能性もあります。しかも低インフレ時代が長く続き、人々は将来的にモノやサービスの価値が下がることを期待し、貯蓄傾向は益々高まっています。わざわざ投資しなくても、貯蓄しているだけでお金の価値が目減りすることはありません。

それでも、投資を推奨するような本が注目されているのは、所得が上がらず、将来への不安が高まっているからでしょう。確かに大切な考え方でしょうが、うまく運用しないとこれまでコツコツと貯めてきたお金さえ失うリスクもあります。結局は、上位の投資家に搾取されるシステムに組み込まれる結果になりかねません。

また、バビロン大富豪の教えを実践して成功した一人として、ビル・ゲイツ氏があげられます。大金持ちになっても飛行機はエコノミーを使うことで有名で、「到着する時間は同じだから」と合理的な考え方をしています。お金持ちになってまでそんな人が増えてしまうと、一体誰が消費を増やすのだろうとの不安もあります。大金持ちには自家用ジェットに乗ってもらい、湯水ように散在することで下々までお金を回した方がマクロ経済のためにはいいような気もします。

まとめ

「資本家を目指す」という考えを否定するつもりはありませんが、資本家でなくても一定水準の生活ができる福祉社会を目指す方が健全ではないでしょうか?このような本が注目されるのも、行き過ぎた資本主義と格差社会が正当化されてきた査証かもしれません。「お金に困らないのは努力の結果」は認められても、「失敗した奴は困って当然」が正当化される社会は間違っていると思います。「バビロン大富豪の教え」には汲むべき点は多いと感じましたが、同時に大きなリスクも孕んでいると感じます。