格差是正が世界的な課題に。富裕層減税で格差が拡大

IMFの元チーフエコノミストとして経済界に影響力を持つオリヴィエ・ブランチャード氏が、ピーターソン研究所(PIIE)主催の会議で講演を行います。テーマは「不平等との闘い」です。主流派経済学の重鎮が、看過できないレベルまで格差が拡大したことを危惧しています。ブランチャード氏がリツイートするグラフは、1950年代から富裕層の税金が徐々に下がってきたことを示しています。

数年前は、日本の財政破綻リスクに対し警告していたブランチャード氏ですが、今年になって日本に必要なのは財政出動であることを表立って発信してきました。残念ながらその声は政府に届かず、各経済指標が悪化する中の消費増税という最悪の選択がとられました。

経済が好調だとみられているアメリカでは、恩恵が中間層以下に十分行き届いていないことが指摘されています。富裕層減税で恩恵を受けているビリオネアや大企業から下層に富がしたたり落ちてくるというトリクルダウンは、単なる仮説でしかなかったのです。

アメリカほどではありませんが、日本でも先進国の中で格差が大きな国のひとつです。ブランチャード氏は会議で、国が有する経済ツールで何が格差是正に有効で、そうでないのかを話すそうです。トリクルダウン仮説が有効でないばかりか悪害であり、金融政策の限界が明らかになった今、採用すべきツールが何かに迫ります。

ジニ係数(2015年、OECDデータ)

まとめ

個人的には、世界的な課題としては環境問題より格差是正の方が重大だと感じています。日々生きていくだけで精いっぱいの貧困層には、環境のことなど考える余裕はありません。環境活動家には経済成長を否定するのではなく、環境問題だけでなく格差・貧困問題もリンクする課題として取り組んで欲しいものです。

また、貧困層からも容赦なく税金を巻き上げる財政破綻論も経済成長を阻害するばかりか、格差を拡大する一因にもなっています。財政拡大という格差是正のツールを封印する財政破綻論という馬鹿馬鹿しい呪縛から、一刻も早く脱しなければなりません。主流派経済からも、徐々にそんな声が高まっていくとに期待しています。