市場原理主義の終焉は近い?ケインズ経済学が見直される時

最近のアメリカの論壇誌には、新自由主義や市場原理主義が間違っていたとする内容のものが目立ちます。これもそのひとつです。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の名誉教授で経済学者のロジャー・ファーマー氏が、「私たちにはもっと多くの経済学者が必要」とのタイトルで記事を書いています。陰鬱な科学や市場原理に基づいた経済政策の失敗が明らかになった今、経済界は格差拡大問題にも目を向けるべきで、そのような経済学者が必要だと主張します。

記事の中で、The New York Timesの主執筆者ビニャミン・アッペルバウム氏が格差拡大の元凶は経済学者にあると書いたことに言及します。特に、1995年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・ルーカス氏の影響は大きく、経済成長を最優先にし、再分配を蔑ろにした経済政策の転換にさせたといいます。またアッペルバウム氏は、薬物乱用や経済的困窮層の自殺が増え、最近の米国人の寿命が短くなったことも指摘します。 

ロバート・ルーカス氏については、Wikipediaで以下の記述があります。

「1970年代にケインズ経済学を事実上葬った人物とされている。彼は1970年代に最も影響力の大きかった経済学者の一人で、それまでケインズ経済学が主流だったマクロ経済学理論の流れを変え、マクロ経済のモデルはミクロ経済学的基礎に立脚すべきであると主張した。またルーカス自身は、金融危機時には財政政策がマネーの消失を緩和する効果があることを認めている。」

ケインズ経済学を事実上葬った人物とされるシカゴ学派のロバート・ルーカス氏ですが、財政政策の効果を否定していないようです。この人はシカゴ学派だから、新自由主義者だから駄目という話ではありません。ノーベル経済学賞を受賞した当時は、供給が需要に追いつかないインフレ時代だったため新自由主的な経済政策が求められ成果をあげていました。それが2000年以降デフレ傾向が強まり、同じ政策では通用しなくなってきました。彼らから、財政政策の有効性が語られるとき、時代は大きく変化するのだと思います。

まとめ

今求められているのは、過去の栄光にすがるのではなく、時代の変化に応じて臨機応変に必要な政策を提言できる経済学者なのだと思います。ケインズ経済学と新自由主義の二者択一ではなく、今の時代はどちらの比重を高めるべきかのバランスが重要なのではないでしょうか。そんな方向を模索する動きが、米国で起きているのだと思います。