世界の景気停滞を止められるか?財政出動以外の有効策はなし

コーネル大学教授で経済学者のエスワー・プラサド氏が、低迷する世界経済について寄稿しています。

「世界の景気停滞を止められるか?」のタイトルの記事で、プラサド氏は以下のように主張します。

拡大する景気停滞リスクの中、各国の政府はすぐにでもさらなる景気刺激策が必要です。理想的には、広範な構造改革も同時に進めるべきですが、各国の政府はそのようなアプローチには消極的で、今行われている金融緩和に偏った政策は持続可能な成長の負担になるでしょう。

世界経済の低迷要因として貿易摩擦、政情不安、地政学リスクなどがあり、さらに効果が限定的な金融刺激策の不安がビジネスと消費者の心理を悪化させ、投資や生産性の向上の妨げになっています。WTOは、2019年の貿易取引の成長予測を2.6%から1.2%に引き下げました。バルチック海運指数は年初来8カ月は約2倍を示していましたが、その後30%も落ち込んでいます。

一方ですべての指標が悪いわけではなく、元気のないドイツ経済などでも労働市場は健全で、ほとんどの主要経済圏で家計消費は堅調です。9月の原油価格の上昇は経済低迷の新たな要因になると思われましたが、それ以降落ち着いています。アメリカも労働市場と家計消費は好調ですが、製造とサービス業は低迷しています。また中国やEUなど主要な貿易相手国との摩擦が、景況感、利益、投資へ影響を与えています。

財政出動を避けてきたドイツは不況の不安が付きまといますが、多少財政出動に舵を切ったフランスやオランダ、スペインは貿易が不調ながら、好調な雇用と緩やかな経済成長を維持しています。しかしイタリアは低迷しており、情勢不安からしばらく抜け出せそうにありません。イギリスはブレグジットを巡る不確実性と国内政治の混乱から、楽観的な見通しがたちません。

日本には、グローバル需要の低迷、消費増税の影響、低インフレなど複数の逆風が吹いています。財務状況は引き続き弱く、実体経済も低迷しています。ビジネスや消費動向は急落し、国の構造、人口動態、財務問題などの要因と相まって、長期的な景気低迷の予兆を思わせます。

<後略>

まとめ

後略した部分では、中国やインドなどの景気減速について語っており、世界的に景気が低迷しているのは確実なようです。しかも、各国の政府の動きは鈍く、有効な対策がとられておらず、長期的な低迷になることは避けられそうにありません。

プラサド氏は、金融一辺倒の政策に限界を示しており、財政出動と構造改革の必要性を説いています。日本の財務問題へ言及しており、日本にどれほどの財政出動の余地があるのか、またどのような構造改革が必要だと考えているのかを知りたいところです。相変わらず金融政策の失敗を認めない日銀や政府は、世界経済の現実を知り新たな道を探る時期にきているのではないでしょうか。