反グローバリズムのバイアス?グローバル化のメリットとは

アジア開発銀行(ADB)の元チーフエコノミストで米国コロンビア大学ビジネススクールの教授シャンジン・ウェイ氏が、反グローバリズム主義への反論を寄稿しています。

ウェイ氏は、「反グローバリゼーションバイアスとパブリックポリシー」のタイトルで、反グローバリズムの主張には大きく3つのバイアスがあると指摘します。そのようなバイアスが各国の社会に広がり政策に反映され、企業や労働者に利益になっていないと主張し、その理由を以下のように説明します。

一つ目のバイアスが、外国製の製品が流入することで、国内の産業が潰れてしまうということ。そのバイアスのため、アメリカのブルーワーカーがトランプ大統領に投票したり、フランスの農業従事者が反グローバリズムのデモに参加したりします。確かにグローバル化は負け組を生みますが、勝ち組でさえグローバル化による間接的な利益を見逃しがちです。

アメリカの例では、コンピューターや電子製品など中国の中間材を利用している分野では、2000年から2014年の経済成長は早く、賃金上昇率も高くなっています。アメリカの製造業従事者は全体の5分の1に過ぎず、サービス分野の従事者が4分の3を占めます。製造業の一部が打撃を受けたとしても、その他の製造業やサービス業は中国からの輸入品で恩恵を受けているのです。

二つ目が、一般的なグローバリズムに対する認識の非対称性のバイアスです。テクノロジー、教育、グローバル化は労働市場や個人に影響を与えます。しかし、政治家やメディアは社会的な混乱の責任を、テクノロジーや教育よりも外国の企業や政府に押し付ける傾向にあります。

三つ目が、悪政の矛先がグローバル化に向かいやすいことです。貿易障壁により利益を得ている企業や個人には、組織化してロビイング活動するインセンティブが働きます。一方で、保護主義により不利益を被っている人たちは貿易問題を理解するための時間が十分とれず、また政策に反映させるロビイング活動をするリソースも持ちません。

以上の三つのバイアスが、国が反グローバルに向かいやすくなる理由で、多くの人たちの利益を損じているのです。

まとめ

このブログでは、グローバリズムに対し批判的な態度をとっています。ウェイ氏が主張するように、マクロでみればグローバリズムに恩恵があるのは確かで、グローバリズムのすべてを批判するつもりはありません。しかし、先進国の実質賃金の鈍化、インフレ率の低下を招き、現在の世界的な経済低迷の原因の一端であることも間違いないのではないでしょうか。どちらの立場をとるにしても、それぞれのメリット・デメリットを理解する必要はありそうです。