レイシズムがテーマの『アンダーカバー』『アメリカン・ヒストリーX』

最近映画のレビューばかりなのは、U-NEXTのお試し期間中に観まくっているからです。そんなU-NEXTでレイシズム(人種差別)を扱った作品の特集がありました。アメリカの恥部でありながら、意外とメジャーなテーマとなったレイシズム。その中から、『アンダーカバー』『アメリカン・ヒストリーX』を観ました。

アンダーカバーは、テロ計画を阻止するためネオナチ組織に潜入した実在のFBI捜査官マイケル・ジャーマンの体験を映画化した作品です。この主人公知ってるぞ、と思ったのですが名前が出てこない。後で調べると、「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフではありませんか。素晴らしい。着実に子役から脱皮した役者に育っています。というか、もう30歳なんですね。なよなよしたイメージは失せ、しっかりとネオナチメンバーの強面を演じていました。

いい作品でしたが、ぼくにとって印象に強く残っているのは『アメリカン・ヒストリーX』の方です。

こちらも、なよなよしていた『ファイトクラブ』からムキムキに一変した、英雄視されるレイシストを演じるエドワード・ノートン。その弟、ダニー・ヴィンヤードの役者にも見覚えがあるぞ。そう、『ターミネーター2』で一躍時の人となったエドワード・ファーロングです。彼もいい演技しています。

その後も真面目に続けていたらいい役者になっていたでしょうに、私生活での奇行で自らチャンスを潰してしまったのが残念でなりません。42歳になり風貌もすっかり変わってしまいました。2019年の『ターミネーター:ニュー・フェイト』にジョン・コナー役で出演してるとのことで、今後の活躍を期待しています。

アメリカン・ヒストリーXで印象的だったのが、食卓で黒人差別を巡る議論がヒートアップするシーン。父親の影響で多人種に偏見を持つようになった主人公は、自分の意見以外はまったく受け入れようとしません。それどころか、違う意見を持つ妹や母親に罵声を浴びせ、暴力で意見を封じ込めようとします。後で反省しますが、自分の考えが間違っているとは微塵も感じていません。

そんな主人公を一変させたのが、車泥棒の黒人を過剰防衛で殺害したことから収監された刑務所での3年間。自分の偏った考え方が仇となり、白人の囚人たちから仲間外れにされ、数で優勢な黒人の囚人からもいつ襲われてもおかしくない状況に置かれていました。そんな彼を陰ながら助けてくれたのが、同じ作業仲間のひとりの黒人です。

当初は黒人であることから拒絶していた主人公ですが、彼のフレンドリーな人柄に触れ、徐々に心を許していきます。自分の無力さと人種的偏見の無意味さに気付いた主人公は、出所後、自分と同じ道を歩もうとしていた弟からレイシズムの感情を取り除こうと奮闘します。

レイシズムの問題は歴史的にも根深く、解決するのは不可能だと感じてしまいます。自分とは違う人たちに対して攻撃的になるのは人間の性で、生活の不満がその負の感情をさらに助長します。世界的に格差の拡大が問題化しており、そのはけ口としてレイシズムに向かうひとつの要因になっています。

先日紹介した『ナイトクローラー』でも、メディアの問題の裏側に隠されている格差がテーマになっていて、それが貧困層が裕福な人を攻撃するニュースを求める歪んだ大衆心理を生んでいます。経済問題がすべての問題を解決するとは言いませんが、多くの問題の根源に潜んでいるのは間違いないと思います。