移民国家の悩み。自動化が社会を分断する?

工場のオートメーションや自動運転車、無人レジなど各分野で自動化が進んでいます。労働者は過酷な仕事から解放される、理想的な社会に近づいているのでしょうか?自動化のデメリットとして「大失業時代の到来」がクローズアップされますが、移民国家では違った懸念があることに興味深く感じました。

ニュージーランドのビクトリア大学倫理学教授ニコラス・アガー氏の寄稿です。タイトルは「自動化の分断(Automating Segregation)」で、自動化が進むことで社会的に分断が起こることを警告しています。

アガー氏は人は社交的な生き物だとし、幸福度は人とのかかわり方で変わってくるといいます。一方で、他人に対し不快に思う矛盾した感情も持ちます。現代の多様化した社会においても、多人種が学ぶ大学の学生は新しい人と知り合うことは楽しいとしながら、同じ人種で固まる傾向にあると調査が示しています。そんな人種の選り好みができないのが職場で、見た目、話し方、行動が自分とは違う人たちともうまくやる必要があります。

Uberは移民やスキルのない人たちに働く場を提供するとともに、人種間の交流を促進する場にもなっています。人が対応する小売店もそうです。しかし、Uberは自動運転車の開発を進め、近い将来ドライバーが必要なくなる可能性があります。また、小売店はAmazon Goのように無人化が進み、職場の自動化が加速することで人との交流の場が少なくなりつつあります。

アガー氏は、テクノロジーの進歩で社会的な分断が起きることを認識すべきと主張します。効率な社会を実現する代わりに、新たに生まれる問題ないにも対処しなければならないといいます。人は「絶望」しないために、人とのかかわりが必要とも。また、多様な民主主義を維持するためにも、自分たちとは違った人たちのと交流も不可欠だといいます。

まとめ

アガー氏の警告は移民国家に向けたもので、今の日本には当てはまらないかもしれません。そいういう意味では、特にサービス業で人手不足が深刻な日本は、オートメーションをもっとも進めやすい恵まれた環境にあります。

しかし、日本でも移民受け入れの是非が問われており、どちらかというと政府は移民受け入れを進めたいように感じます。期間限定の労働者とは違い、移民を一旦受け入れてしまえば家族を含め一生日本での生活を保障しなければなりません。オートメーションの時代の到来とともに、「仕事がなくなったから帰ってくれ」では済まされません。「今人手不足だから移民を受け入れよう」なんて安直な考えでは、誰も幸せにならないばかりか、日本社会の分断を招きかねないと認識すべきでしょう。