ゴーン被告の映画『アルゴ』さながらの脱出劇。身柄の引き渡しは困難

年末に、ゴーン被告がレバノンに出国したとのニュースが世界中を駆け巡りました。とっさに「逃亡罪」の罪が上乗せされるのでは?と思いましたが、保釈保証金15億円は没収されても、保釈中の逃亡は逃走罪にはならないそうです。逃走罪の対象になるのは、現に刑事施設に勾留されている人だけです。

また、レバノンに国籍を有するゴーン被告を日本へ連れ戻すことは事実上不可能で、保釈を出した東京地裁の歴史的大チョンボとの結末になりそうです。

これからゴーン被告は、日本の司法制度をボロカスにディスることになります。早速、自分の行為は棚に上げ、「私は正義から逃亡したのではない。政治的迫害と、不正義を回避したのだ。私はようやくメディアに対して自由に話すことができる。来週が始まるのを楽しみにしている」との声明を出しています。

どのように出国したのかは不明ですが、関係者の話として映画『アルゴ』さながらの脱出劇があったようです。アルゴは、架空のSF映画をでっちあげ、イランから密かにアメリカ人を脱出させる実際に成功した作戦を描いています。レバノンの民放テレビ局MTVは、ゴーン被告が日本を脱出した際の作戦が、「準軍事的なグループ」によって実行されたと報じています。

同じくMTVによると、日本でゴーン被告が滞在する自宅に、作戦を実行するグループが音楽バンドの変装をして潜入。ディナーコンサートを終えるのに十分な時間が経ったのちに、楽器を入れる木箱の中に前会長を隠して、自宅から連れ出したといいます。また、偽造パスポートを使うといった違法行為はなく、レバノンなどの政府の外交特権を駆使して出国させたとの見方もあります。

映画も立派なプロパガンダの手段になります。きっとゴーン被告の支援者がスポンサーになり、ゴーン被告を英雄に祭り上げる映画が製作されることでしょう。同時に、日本の司法当局の間抜けさも世界に喧伝されることになります。

CNNの報道では、フランス政府もゴーン被告の出国に驚いているといいます。フランスの経済・財務大臣付副大臣アニエス・パニエ=リュナシェ氏はラジオに、「ゴーン氏は法を超える存在ではない。もし外国籍の被告がフランスの法から逃れるとしたら私たちは憤慨するだろう」と語っています。

ゴーン被告はフランスにも国籍がありますが、いまだに英雄視されているレバノンとは受け取り方が違うようです。当初はゴーン被告に同情していたフランス世論も、さまざまな疑惑が明るみに出るにつれ冷ややかなものに変わってしまっています。日本の司法当局の無能さは、笑い話として世界に広まるのは確実でしょうが、ゴーン被告がレバノン以外で支持を集めるのは難しいかもしれません。