SARS(致死率9.6%)の恐怖再び。新型コロナウイルスの致死率は3%程度

中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの被害が拡大しています。中国が春節(旧正月)の大型連休で渡航者が増加するタイミングと重なり、世界中に懸念が広がっています。ツイッターなどのSNSではデマが拡散し、必要以上に恐怖を煽っています。武漢の街中で、新型コロナウイルスが原因で人がバタバタと倒れていと訴える動画もあり、中には信じている人もいるようです。

ほとんどの人が忘れていると思いますが、以前にも新型コロナウイルスの発生で同じように大騒ぎになりました。2002年11月、中国南部広東省ではじめてSARS(重症急性呼吸器症候群)の患者が報告され、その後アジアとカナダを中心に32の地域や国々へ拡大しました。

2003年12月31日時点のデータでは、報告症例数が8096人で、うち774人が死亡しました。SARSの致死率は約9.6%で、現時点では今回の新型コロナウイルスの致死率は3%程度とみられています。SARSより少ない被害に抑えられるかが、ひとつの試金石になるのかもしれません。ちなみに日本では、可能性例16例と疑い例52例のすべてがSARSではないと診断されました。

今回の新型では、既に日本国内で3人目の感染者が確認されており、日本での感染拡大の可能性はSARSより高いかもしれません。春節が重なったこと、安倍政権が進めてきたインバウンド増加政策がリスクを高めています。それでも、医療機関の受け入れ態勢が整った日本で、重症化して死亡するケースは多発しないと個人的には思います。

個々にできることが限られますが、体が弱っている人や高齢者が重症化しやすいことから、一般的な風邪やインフルエンザ対策と同様の公衆衛生強化や体調管理は必須です。また、感染を拡大しないために不要な外出は避け、体調不良の際は早めの受診も必要でしょう。

総理の以下の発言が、危機意識が低すぎると批判されています。

「国民の皆様におかれては、過剰に心配することなく、一般的な風邪の予防策を励行し、落ち着いて行動していただくようにお願いを申し上げます。」

過剰反応してパニックになるのが恐ろしいのは確かです。日本を訪れる中国人に不快感を示すツイッターも目にします。武漢からの観光客を送還する国もあり、日本でも中国人の入国規制をかけるべきとの声もあります。現在対策として行っている訪日者に自己申告を促す「健康カード」や、空港での旅客のサーモグラフィー検査では、患者の入国を水際で完全に防ぐのは不可能です。どこまでが過剰反応かの判断は難しいところですが、アメリカのように武漢からの渡航者の入国を特定の空港に制限する処置は必要かもしれません。

今後も、パンデミックのリスクに対処する事態はやってきます。最も恐ろしいと考えられるのが、H5N1型の強毒型鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染拡大です。致死率は約60%で、40歳以下や小児の死亡率が高いのが特徴です。今回の中国や日本政府の動きを見ると、その恐ろしい事態が発生した時のリスク管理が不十分ではないかと心配になります。