恐怖心から生まれるパニックが新型コロナウイルスのリスクを高めている

ヤフーニュースのトップが「武漢周辺の140人、帰国に壁…第4便派遣は来週半ば以降か」であることから分かるように、国民の関心事は新型コロナウイルスに集中しています。しかし果たして、そのニュースは知るべき内容なのでしょうか?

新型コロナウイルスに関して本当に大きな問題が、日本、中国政府が懸念している国民の過剰反応です。新型コロナウイルスのリスクが過大に評価され、少しの症状でも我さきと病院に駆け込み現場を混乱させています。これでは本当の患者がまともな治療を受けられないばかりか、感染が拡大してしまいます。日本ではそんな事態を避けるため、感染の可能性がある場合、医療機関ではなくまず保健所に連絡することを求めています。

新型コロナウイルスのリスクですが、中国以外で死者が出ていないことから、適切な医療処置を受けることができればそれほど高くはないのだと思います。アメリカではインフルエンザが大流行しており、「新型コロナウイルスより脅威のインフルエンザ」という報道がされています。

アメリカではこの4カ月でインフルエンザに2600万人が感染し、最大で2万5000人が死亡しているといいます。新型コロナウイルスがそれを超える可能性があるため「今のところ」との注釈付きですが、そんな状況のアメリカで新型コロナウイルスの方により関心が向かうこを皮肉っています。「今のところ」アメリカでは新型コロナウイルス感染による肺炎のケースは7件が確認されていて、命に別条がある人はいません。

記事では専門家の言葉を紹介しています。「私たちは、情報が十分でないと感じるものに対しては恐怖心が芽生える。一方インフルエンザは、現実にあるものとして大きな脅威ではないと感じる。たとえ多くの人が犠牲になっているとしても」。

読者からの反応には、「中国政府の発表が信用できないから心配なのではないか」、「分からないものに対しては過剰に反応すべき」というものがあります。それも理解できますが、世界中に広がりつつ中国人や東洋人への差別意識、マスクや医療品の買い占め、医療機関や担当省庁への過剰な負担増などにつながる報道や行動は避けるべきだと感じます。原因は不明ですが、武漢帰国者の受け入れ施設で内閣官房職員が自殺しました。世論の過剰な反応が、この職員を追い詰めた可能性は否定できないと思います。