米国の経済再開はファンタジーなのか?予想以上に困難な需要の復活

米国では自粛が徐々に解除され、経済再開の動きが出てきました。それを好感したのか、株価もコロナショック前の水準まで戻してきています。エコノミストも早期の復活を予測しており、先行きに明るさが見えてきました。しかし、そんな雰囲気に米国の経済学者ジェームズ・ケネス・ガルブレイス氏が一石を投じます。彼は何を危惧しているのでしょう?

エコノミストのジェイソン・ファーマン氏やポール・クルーグマン氏は、アフターコロナの劇的な経済的リカバリーを予測しています。株価も楽観的な見方を反映し、コロナショックは一時的な落ち込みに過ぎないとの雰囲気が広がっています。本当に、米国経済の未来は明るいものなのでしょうか?

ガルブレイス氏は、米国経済の脆弱性を指摘します。米国経済は、最先端製品を求める世界の需要、豪華な製品やサービスを求める民間の需要、上がりつつける住宅価格、企業の借金に支えられた砂上の楼閣だと。エコノミストは経済刺激策の効果で復活を予測しますが、かつてのように財政出動が経済を押し上げる余地は少ないと彼は言います。その大きな3つの要因として、グローバリゼーション、サービス業への消費・雇用の拡大、家計や企業の借金の肥大化を掲げます。

アフターコロナは世界的な需要低迷を引き起こしているので、今後の輸出の劇的な回復は見込めません。また、サービス業への消費の回復も、ショック前の水準には戻らない可能性があります。失業や賃金の低迷、借金返済のため、人々は娯楽のための消費を削らざるを得なくなります。これまでのように賃金や不動産価格の上昇が見込めなくなると、家計も企業も借金を増やしてまで消費しなくなってしまいます。

ガルブレイス氏は、新型コロナが砂上の楼閣のように築き上げられた米国経済のファンタジーを吹き飛ばしたと指摘します。なりふり構わない金融緩和で、リーマンショックのような金融危機を防いでいるように見えます。しかし今後、実体経済に恩恵が回らない状況が続くと、本当の恐慌がやってくることを認識する必要がありそうです。