子どもに親の心配をさせてはいけない。クズがクズのまま終わる映画『ごっこ』

『きみはいい子』『彼らが本気で編むときは、』『うさぎドロップ』など、子育て、教育、虐待、ネグレクトなどがテーマの映画を連続して観ています。中でも『ごっこ』は異質で、どうにもならない不快さが作品に漂っています。40前のニートが4歳の女の子を衝動的に誘拐し、強姦しようとする冒頭シーンがそうさせるのでしょうか。さらに年金の不正受給や自堕落な生活を見せられると、どうしても主人公を応援したくなる気にはなりません。

原作は小路啓之の漫画で、小路さんは2016年10月20日、46歳のときにサイクリング中に心筋梗塞を起こし転倒して亡くなっています。映画『ごっこ』は2018年10月20日、原作者の命日に公開されました。主演は千原ジュニア、平尾菜々花、優香。

内容は、引きこもりのボク(千原ジュニア)と、誘拐した近所の女の子ヨヨ子(平尾菜々花)の日々を描いています。ヨヨ子は誘拐された時に頭を打ったためか、ボクのことを父親と思い込んでいます。二人の平穏な生活は長く続かず、ボクがヨヨ子の母親を殺害することで終わりを迎えます。

ストーリーの大半は、ボクとヨヨ子のほのぼのとした奇妙な親子関係が描かれます。引きこもりだったボクが、ヨヨ子との生活のため仕事に就き、切れやすい性格も徐々に治ってきます。そんな二人の成長を目の当たりにして、応援したくなる気分にさせるのが作品の意図なのでしょうか。しかし、ボクがいくら改心したとしても誘拐は重罪です。そんな罪を犯しながら、周りの人たちに「ルールを守れ」と訴えす姿は滑稽でしかありません。

また、4歳のヨヨ子が、ボクの暴走を止めるような仕草をするのも、非現実過ぎて冷めてしまいます。4歳と言えば、知能はチンパンジーレベルです。そんな子どもにとって親は絶対的な存在であり、親を社会的に正しい方向に導くことは不可能だと思います。だからこそ親の責任は重大で、小さな子どもが親の心配をさせるようなことはしてはいけません。

結局ボクは真人間になることはできず、ヨヨ子の母親を殺してしまいます。レビューでは、「感動した」「涙が止まらなかった」とのレビューが多くありますが、一体このストーリーからどう感動しろというのでしょうか。クズがクズのまま終わる映画です。ボクに対しては、一切の同情ができません。原作では30歳のボクが、映画では40前の設定になっています。ボクが社会不適合者であり、そのイメージに千原ジュニアがぴったりだったことからキャスティングされたそうです。感動させるとしたら、ストーリーではなく千原ジュニアと、当時9歳だった平尾菜々花の熱演であることは認めます。